【特集】 静岡県の郷土伝統工芸品に指定された桐箪笥職人の技

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ここ藤枝は江戸時代から桐箪笥の名産地と言われ、藤枝桐箪笥は静岡県指定郷土伝統工芸品にも指定されています。藤枝市本町にある山田タンス店は、80年もの間この地で桐箪笥の伝統と技術を伝え続けてきました。

2016年の〝藤枝おんぱく〟では、桐子箱作りのプログラムを開催していただいた山田タンス店三代目の山田美吉さんに、桐箪笥作りについて伺いました。(聞き手:藤枝おんぱく事務局)

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■伝統を受け継ぐ

「日本のように四季がある土地には、桐箪笥に敵うものはないですよ」と山田さんはいいます。

高温多湿の気候である日本では、収納物を湿気から防ぐには桐がとても優れています。また、桐箪笥は耐湿性に優れ、虫がつきにくく、熱を通しにくいということで、古くから貴重品や衣類の収納に重宝されていました。「桐箪笥は再生作業で削れば新品同様になるのもいい。ついこの間もおばあさんの代から使っているという桐箪笥を削ってほしいと持ってきた人がいましたよ」と山田さん。

昔は娘を嫁に出すときに嫁入り道具として桐箪笥を持たせていたため、山田タンス店にも一時は生産が追いつかないほどの注文が入っていました。最盛期には全国から大型のトラックで買い付けに来たこともあったと言います。その当時藤枝市には箪笥屋が30軒近くあり、新潟県加茂市、埼玉県春日部市と並ぶ桐箪笥の三大産地でしたが、今では県指定の藤枝の桐箪笥屋は山田タンス店一軒のみとなってしまいました。「職人として一人前になるまでに10年かかるし、昔から職人の休みは、毎月1日と15日のみと言われていて日曜も祝日も関係ない。どこも跡継ぎがいないんですよ」。

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災害時に証明された桐箪笥の強さ

桐箪笥の素晴らしさを伝えるひとつとして、こんな話があります。1974年に静岡市付近で起こった七夕豪雨の際、家が浸水したことで開かなくなった桐箪笥を、何人もの人が山田タンス店に持ち込んだそうです。この時に、桐箪笥が水を吸ったことで中には一滴も水が入ってなかったというのを目の当たりにしたそう。また、火事で全焼した家にあった桐箪笥は、外側は黒く焦げてしまいましたが中側は火事の前となんら変わっていなかったということもあったそうです。

桐箪笥を作ってきた歴史の中でさまざまな経験をしていますが、〝藤枝おんぱく2016〟のプログラムで桐小箱作りをした際に、参加者からかんなくずを靴の中に入れておくと匂いや湿気が取れることを教わったこともあったそうです。

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手作りでなければ価値がない

山田さんが桐箪笥を作る際は、瀬戸谷に空木(うつぎ)という木を取りに行き、木釘から作っています。また、ほとんどの工程が手作業となるため、ひとつの桐箪笥を作るのに20日ほどかかるのだそうです。

では、自らの仕事に対してどうお考えなのでしょう。「手作りのものなので新しくしようもないよね。それに、手作りでなければ価値がないものだから」と言っていました。

現在は88歳となり、小物作りと桐箪笥の再生のみ請け負っているとのことです。しかし、多くの方が今でも箪笥作りの技に魅了され、お店を訪れています。桐箪笥の素晴らしさを、末永く後世に繋いでいただきたいです。

 

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プログラムNo.48 藤枝の伝統の技 桐小箱を作ろう
https://shizuoka-onpaku.jp/fujieda/program/201718035001
案内人:桐箪笥職人 山田美吉、山田宏
この道70年と60年の兄弟職人。桐箪笥の注文や修理の依頼が全国から集まる。
開催日:4/22(土) 、5/13(土)